先日、アメリカのサンフランシスコとロサンゼルスに行く機会があり、現地の小売店で日本酒の取り扱い状況を視察しました。
アメリカの日本酒販売状況のレポートとして、第一回に続き、サンフランシスコの小売店を取り上げます。尚、本レポートはトランプ関税が発動する以前のものになります。

サンフランシスコの「True Sake(トゥルー・サケ)」は、米国初の日本酒専門の小売店として広く知られています。
True Sakeの特徴は、ボトルの首にかけられたカラフルな紐。「70% Junmai(純米)」「60% Ginjo(吟醸)」「40•50% Dai ginjo(大吟醸)」「Unique(ユニーク)」「Sparkling Nigori(スパークリングにごり)」「NAMA unpasteurised(生酒)」の6種類に色分けされており、消費者はラベルを読まなくても一目でどのスペックなのかが分かるようになっています。
また、各お酒には手作りのPOPが用意されているのですが、驚いたのは香りや味わいを表現する具体例の豊富さです。
AKABU『極上ノ斬』を例に取ってみると、まず香りについては以下のように書かれています。
「ノーズ(鼻で感じる香り)はマスクメロン、苺、ぶどう、綿飴、パイナップル、りんご、梨、砂糖菓子。フローラルなアロマ(テイスティングで感じる香りの総称)が感じられる。」
次に、味わいについては以下のように説明されています。
「メロンや梨、青りんご、氷砂糖、マンゴー、未熟な苺、いちじく、柿がたっぷりの旨味とミネラル感のある後味ととも感じられる。」
りんごや梨、ぶどうなどは日本でもお酒の香りや味わいを表現する言葉としてよく使われますが、未熟な苺、いちじく、柿といった具体例はなかなか見ないのではないでしょうか。
もう一つ、かたふね『大吟醸 斗瓶』を例に挙げましょう。
「ノーズは苺、パイナップル、百合、バニラ、クリーム。蜜のアロマが感じられる。」「バニラや苺、アーモンド、サトウキビ、マシュマロ、レモンの皮の砂糖漬け、梨、ホワイトチョコレートのような複雑で贅沢な風味を持ち、根底にヌガーの風味が感じられる。」
ここにも百合やレモンの皮の砂糖漬け、ヌガーといった珍しい例えが登場しています。
そして、上記に挙げた2つの例に共通しているのは、味わいを表現する際に「まろやかな旨味」や「フレッシュな酸味」「ほのかな甘味」といった形容以外に具体的な食物の名前を挙げていることです。
香りや味わいの表現にはできるだけ具体的な食物の名前を挙げること、そしてたとえ日本人には馴染みがなくとも、アメリカの消費者にとって馴染み深い例を挙げること。True Sakeではこの2つを重視しているように感じられ、日米で受け入れられやすい表現の違いが知れる面白い経験となりました。
次回は現地系スーパーマーケットでの様子をレポート予定です。
Z世代酒匠ライター kanane_sake
