フェスと日本酒。夏の熱気を閉じ込めるSummeR Fall

夏の定番といえば、世界各国から多種多様な音楽が集まるフェスだ。

照りつける太陽。芝生の匂い。遠くから聞こえるリハーサルの音。ステージ前に集まった人たちの熱気が、まだ昼前だというのに会場全体を包み込んでいる。

好きなアーティストが登場した瞬間、歓声が上がる。

身体の奥まで響くベース音。 気が付けば周囲の知らない人たちと同じリズムで身体を揺らしている。

音楽を「聴く」というより、全身で浴びる感覚。

夏のフェスには、そんな特別な高揚感がある。

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缶入り日本酒の「SummuR Fall」

画像元:https://summerfallsake.jp/pages/story

汗だくになりながら音楽を楽しんだ後は、やっぱり冷たいお酒が飲みたくなる。

定番はビールだろう。

キンキンに冷えた一杯を流し込む瞬間は何度経験しても気持ちがいい。

ただ最近は、日本酒にも夏らしい楽しみ方があることを知った。

帰り道、コンビニに立ち寄った時だった。

冷蔵ケースの中で目に留まったのが、缶入り日本酒の「SummeR Fall」。

音楽フェスを思わせるポップなデザインに惹かれ、思わず手に取ってしまった。

プルタブを開けると、シュッという心地よい音。

口に含むと、細かなガス感が弾ける。爽やかな酸味と軽快な飲み口。日本酒らしい米の旨味を感じながらも重たさはなく、まるで夏の風が吹き抜けるような印象だ。

フェス会場の熱気がまだ身体に残っている。

耳の奥では、さっきまで聴いていた音楽が鳴り続けている気がする。

演奏が終わっても記憶や感情は残り続ける

歳を重ねるにつれて、フェスの楽しみ方が少しずつ変わってきた。

学生の頃は、最前列で飛び跳ねて、終電ギリギリまで騒ぐことが何より大切だった。

もちろん今でも好きな曲が流れれば自然と身体は動く。ただ最近は、それだけではない。

ライブが終わった後の余韻や、会場を後にする人たちの表情、夕暮れから夜へ移り変わる空の色にも目が向くようになった。最後のステージが終わり、アンコールの歓声が静かに消えていく。照明が落ち、さっきまで熱狂していた人たちがそれぞれの帰路につく。

楽しかった時間ほど終わるのは早い。

少しだけ寂しさを感じながら歩く帰り道。

そんな時に飲む「SummeR Fall」は、フェスの熱気を閉じ込めたような味がした。

爽快なガス感は昼間の高揚感を思い出させてくれるし、米の旨味はどこか一日の充実感にも似ている。

音楽は演奏が終われば消えてしまう。

けれど、その日の記憶や感情は心の中に残り続ける。

「SummeR Fall」の余韻は、その瞬間を少しだけ長く味わわせてくれるような気がした。

音楽と日本酒を重ね合わせる

画像元:https://summerfallsake.jp/pages/story

フェスでは憧れの海外アーティストのステージに胸を躍らせることもあれば、日本のバンドの演奏に心を揺さぶられることもある。

そんなことを考えていると、この「SummeR Fall」がアメリカ・カリフォルニアで生まれた日本酒だということを知った。

日本酒を世界酒へ。そんな想いを掲げる醸造家達の挑戦は、どこか日本のバンドにも似ている気がする。

ロックもジャズも、もともとは海外で生まれた文化だ。それを日本のミュージシャンたちは自分たちなりに解釈し、日本独自の音楽として育ててきた。

日本酒は音楽と逆方向のクロスオーバーを起こしているのかもしれない。

海を越えたカリフォルニアで生まれながらも、その根底には日本で生まれた酒文化が流れている。

缶を傾ける。少し温度が上がったせいか、さっきまで感じていた爽快なガス感の奥から、米由来のやわらかな甘みや旨味が顔を出してくる。

冷えた状態では軽快に。少し時間が経てば表情豊かに。

その移ろいは、五線譜では表せない雅楽のようでもあった。

派手な変化ではない。けれど、シームレスに確実に香味が変わっていく。

夏の夕暮れから夜へ。フェスの熱気から静かな余韻へ。

「SummeR Fall」という名前の通り、夏から秋へ移り変わる季節を閉じ込めたような一本だった。

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この記事を書いた人

滋賀県出身・京都市在住/唎酒師・焼酎唎酒師・酒匠・日本酒学講師

酒類への関心が高じ、大学卒業後は京都市内の酒販店に勤務。その後、食品メーカーでの営業職を経て、フリーライター・お酒の講師として独立。お酒を単なる「飲み物」としてだけでなく、「文化」として次世代へつないでいくことをテーマに取材・執筆・イベント活動を行っている。

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